こんにちは。
今回は建築家の乾久美子の建築作品11選。代表作のフラワーショップHやルイ・ヴィトンの店舗などです。
ルイ・ヴィトンやディオールなどの商業建築の印象が強い建築家の乾久美子氏。
商業建築はもちろん、集合住宅や住宅、学校、美術館など様々な建築物を手掛けていますよね。
そこで、今回は建築家の乾久美子の建築作品をまとめました。
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CONTENTS
乾久美子とは
乾 久美子(いぬい くみこ、1969年(昭和44年) – )は、日本の建築家。
乾久美子建築設計事務所主宰。
横浜国立大学大学院Y-GSA教授。
建築家の乾久美子の建築作品!
ここからはいよいよ、実際に建築家の乾久美子の建築作品を見ていきましょう。
フラワーショップH(日比谷花壇日比谷公園店)
都心の公園に建つ小さな花屋です。
老朽化した店舗を同規模のものに立て替えました。
小さいけれど背の高い建築をたくさんならべることで、外部的でありながらも内部的でもあるような、梢の下に近い居心地のよい場所をつくることを考えました。
都市と公園の狭間に建っていますが、その両方の雰囲気にマッチする建築になればと考えました。
フラワーショップH(日比谷花壇日比谷公園店) | Inui Architects
東京都千代田区日比谷公園にある乾久美子氏が設計した花屋「フラワーショップH(日比谷花壇日比谷公園店)」!
5つに分棟されたリズムのある建物で、周囲の石張りのビルと合わせて御影石張りを採用しています。
高い天井と大きな開口部が特徴となっており、外にいるような開放的な空間となっていますよ。
この作品はJIA新人賞やBCS賞、グッドデザイン金賞など様々な賞を受賞しています。
Louis Vuitton Taipei Building
ブランド店鋪の外装には、ブランドのイメージを記号的に表現することが求められています。
そうした商業性をあからさまにした外装はあまり品のよいものではありませんし、わざわざ建築的な知恵を動員する必要もありません。
しかしながら、こうしたブランド店鋪の外装が世界中の主要な都市の繁華街を形成するひとつの要素になってしまっているにもかかわらず、単に看板のようなものとしてだけつくられているのはいかにももったいないです。
少しでも街並みに楽しさや快適さを感じるきっかけになるようなものにしたいと考えました。
亜熱帯にある台北に特徴的なうっそうとした街路樹の影がそのまま転写されたようなファサードです。
それにより心地よい緑陰が壁の奥にまで続いていくような印象をつくり出せればと考えました。
もちろん転写パターンを形成するのはLouis Vuittonのブランドアイデンティティであるダミエパターン(市松模様)です。
高級ブランドであればあるほど顧客は複数の店鋪を利用していることも予想されるわけで、ひとつひとつの店鋪をローカライズにすることには商業の戦略上でも意味があることのように思えます。
Louis Vuitton Taipei Building | Inui Architects
台湾にある乾久美子氏が外装のデザインを手掛けたルイ・ヴィトンの店舗「Louis Vuitton Taipei Building」!
人工石を使用して大きさの異なるダミエパターンを再現した外観が特徴の建物です。
台湾の街並みに馴染むよう市松模様が木々のシルエットに見えるよう工夫されていますよ。
Louis Vuitton Taipei LV Building 台湾|ルイ・ヴィトン 公式サイト
アパートメントI
都心の小さな敷地に立つ集合住宅。
この敷地では道路斜線制限が最も厳しくボリュームを制限するものであったため、天空率を使い切りながら最大限の体積を立ち上げています。
そして各階の階高を最小限に抑え、要求されていた5戸の貸室をなんとかつくりました。
階段の到着位置は各階で左右交互に入れ替わり、それに従って階段を収容するコアも左右に揺れ動きます。
そして、そのコアの揺れ動きに伴って各階のユニットプランがロの字形とコの字形が反復するものになり、さらに階段の位置そのものを別の断面軸上で(今度は意図的に)揺り動かし、ロとコのプランを鏡像反転させます。
いろいろな高さの建物が建ち並ぶ周辺環境に対して、各階の生活の重心を最適なものにしようとしたためです。
コアから外周のサッシまでは広くても1.7mしかありません。
しかしコアの壁を背にして奥行の浅いスペースに身を置く体験は、崖の凹みにビバークしているような感じで、都心におけるワンルームアパートの暮らしに不思議な安心感を与えるように思います。
また各階で違う平面を積み重ねることで、集合住宅に独特な、採光窓やバルコニーが所狭しと配列されている立面の暑苦しさを、さりげなく取り除くことができます。
東京都渋谷区にある乾久美子氏が設計した集合住宅「アパートメントI」!
ガラス張りのかっこいい建物で、各層に1戸ずつ縦に積み重ねられた全5戸のワンルームマンションです。
階段の位置を各階ごとにずらすことにより、周辺環境に柔軟に対応できるのはもちろん、集合住宅にありがちな連続した間取りではなく、変化のあるものになっていますよ。
この作品で新建築賞を受賞しています。
Dior Ginza
ファサードは穴をあけた10ミリのアルミ板で覆われています。
穴は2種類あり、大きさの違いでカナージュとよばれるディオールのパターンを表し、奥にある壁にも同様のパターンを小さくしたものをシルク印刷しているので、夜になると大きさの違うパターンが折り重なって見えます。
東京都中央区銀座にある乾久美子氏がファサードデザインを手掛けた店舗「Dior Ginza」!
外装に大小の穴を開けたアルミ板を使用し、ディオールのカナージュというパターンを再現しています。
外装を二重にすることにより、夜になるともう一つのパターンが現れ、立体的に見えるようになっていますよ。
七ヶ浜町立七ヶ浜中学校
宮城県宮城郡七ヶ浜町吉田浜にある乾久美子氏が設計した学校の校舎「七ヶ浜町立七ヶ浜中学校」!
廊下の一部に設けられたリトルスペースが特徴の建物で、自主的な学びや少人数指導などに活用することが可能となっています。
ロの字型の平面を採用しており、将来的に増築することも可能となっていますよ。
この作品は日本建築学会作品選奨を受賞しています。
七ヶ浜町立七ヶ浜中学校 | 自ら学び,心豊かな,たくましい生徒の育成
Louis Vuitton Kochi
ルイ・ヴィトンの路面店です。
ファサードは特別にしつらえたライムストーンをすだれのように上から吊るしています。
夜になると、ライムストーンの隙間から、奥に塗装されたダミエパターンがうっすらと浮かび上がります。
Louis Vuitton Kochi | Inui Architects
高知にあった乾久美子氏が設計したルイ・ヴィトンの店舗「ルイ・ヴィトン高知店」!
ダブルスキンのファサードが特徴の建物で、外側はライムストーンを吊るしています。
夜になると隙間から漏れる光がきれいで、市松模様が浮かびあがってきますよ。
現在はなんとセブンイレブンになっているようです。
この作品は高知市都市美デザイン賞を受賞していますよ。
共愛学園前橋国際大学4号館 Kyoai Commons
既存キャンパスの増築計画。
手狭になった学生食堂や学生がパソコンで自由に自習できるラーニングセンター、一般教室が入居し、大学全体のラウンジのような場所となることが期待されています。
中には「壁柱」が林立しており、「壁柱」は部屋の大きさから割り出されたリズムで配置されています。
部屋の大きさは要求される機能によって違うため、「壁柱」の配置のリズムは廊下を介して向かい合う棟同士で変化していきます。
そうした「壁柱」の配置のリズムの違いを利用して、向かい合う部屋同士をつないで使ったり、静かで小さな部屋の向かいににぎやかな部屋をつくってお互いをゆるやかにつないだりしながら、学生や先生が自由な発想で建物を使用できるようにしました。
共愛学園前橋国際大学4号館 Kyoai Commons | Inui Architects
群馬県前橋市小屋原町にある乾久美子氏が設計した大学の校舎「共愛学園前橋国際大学4号館 Kyoai Commons」!
細長い5棟を短冊状に並べた建物で、棟と棟の間はトップライトが設けられた廊下となっています。
構造と間仕切りの両方の役割を果たす壁柱を配置することにより、必要最低限のプライバシーを確保し、向かい合った部屋を一体化して使用したりと様々な使い方が可能となっていますよ。
この作品は日本建築学会作品選奨やグッドデザイン賞を受賞しています。
共愛学園前橋国際大学 KYOAI GAKUEN UNIVERSITY
ヨーガンレール丸の内
小さく分割した部屋のそれぞれの床・壁・天井を、すべて同じ色で塗っていきます。
さらに部屋と部屋との境界線では、色どうしが混ざり合うようにぼかしてみました。
すると、色が色に見えないで、空間が色の付いた光で満たされたように見えてきます。
部屋を横断しながら移動すると、それぞれの色の持つ雰囲気に気分が満たされるのか、軽い酔いのような心地よさにいつの間にか浸ることになります。
しかし、ふと目に入る商品は、通常通りの日光に近い色温度で照らされているので、器(部屋)とその中にあるもの(商品)とが違う色の光で別々に照らされているかのように見えて不思議です。
そのような少し非日常的な光景が、心地よい酔いのような気分を少しだけ深化させます。
東京都千代田区丸の内にある乾久美子氏が手掛けた店舗の内装「ヨーガンレール丸の内」!
5つのスペースに分かれた小部屋の壁や天井から床までをそれぞれ違う色の1色で塗られています。
部屋同士の境界線は2色を重ねたグラデーションのようになっており、部屋を移動するたびに違う気分を味わえる不思議な体験をすることができますよ。
ヨーガンレール [Jurgen Lehl Co.,Ltd.]
スモールハウスH
榛名山の麓に位置する旧農家の敷地内に建つゲストハウスのようなものです。
母屋、フェンスなどの混在する雑多な周囲の風景を視覚的に切り分けるため、配置に留意しつつ、正方形の平面を対角線で仕切った室構成としています。
各部屋は直角三角形で、長辺を開口としするため、ひとつの開口がひとつの立面全体に広がります。
群馬県高崎市にある乾久美子氏が設計した別荘「スモールハウスH」!
方形の屋根をもつ建物で、正方形の平面を対角線に間仕切り、直角三角形の4つの部屋を備えています。
木製建具を使用した大きな窓からは、それぞれ違うシンプルな風景を望むことができますよ。
Louis Vuitton Osaka Hilton Plaza
このファーサードは、ガラス、鏡面磨きしたステンレススチールの格子、パターンが施された壁という3層のレイヤーで構成されています。
格子はLVロゴにみられる特徴的な角度からインスピレーションを得ており、斜の角度を採用することで、非常に複雑な反射を生み出しています。
それにより、まるでファサード全体が水で満たされているようなイメージをつくりだしています。
Louis Vuitton Osaka Hilton Plaza | Inui Architects
大阪府大阪市北区梅田にある乾久美子氏がファサードを手掛けたルイ・ヴィトンの店舗「Louis Vuitton Osaka Hilton Plaza」!
ガラスと壁の間にステンレスを格子状に並べ、格子はルイ・ヴィトンのロゴと同じ角度になっています。
夜になるとライトアップされ、透明感のあるデザインできれいですよ。
みずのき美術館
町家の多くは、文化財というよりは、最低限の資材で建設されていたり、住民の都合に合わせて自由に改変されていたりというようなリアルな生活の道具であるという側面があります。
そうしたリアルな町家は時に情けない風情を見せることもありますが、それらをどのように扱うのかは景観論的に意見の分かれるところでしょう。
福祉施設を運営する傍らアウトサイダーアートを長年見つめ、育ててきたクライアントは、本プロジェクトの町家にアウトサイダーアートと同様の質を感じ取ったのか、周辺地域の中でも比較的情けない部類に入る町家を購入して美術館へと改修することを発想しました。
私たちは彼らの意気込みやセンスに感動し、町家の記号性を極力排除しながらも町家のよさが引き立つような改修を試みています。
京都府亀岡市にある乾久美子氏が設計した美術館「みずのき美術館」!
T字路に建つ2階建ての建物で、理髪店として使われていた町家をリノベーションしています。
作品の搬入がしやすいよう大きな開口部が設けられており、新しいものと古いものを織り交ぜたデザインに仕上がっていますよ。
乾久美子氏は作品集も出していますよ。
Inui Architects 乾久美子建築設計事務所の仕事
どの作品も多種多様でおもしろいですね。
以上で建築家の乾久美子の建築作品11選。代表作のフラワーショップHやルイ・ヴィトンの店舗などでした。
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