こんにちは。
今回は中村拓志&NAP建築設計事務所の建築作品12選。代表作の広島のリボンチャペルなどです。
自然を生かした建築が特徴の人気建築家の中村拓志氏。
住宅や商業施設、教会、店舗、ホテルなどの様々な建築物を設計していますよね。
そこで、今回は中村拓志&NAP建築設計事務所の建築作品をまとめました。
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CONTENTS
中村拓志とは
中村 拓志(なかむら ひろし、1974年(昭和49年)2月12日 – )は日本の建築家。
NAP建築設計事務所主宰。
東京都生まれ
1999年 明治大学大学院理工学研究科博士前期課程修了。(25歳)
1999-2002年 (株)隈研吾建築都市設計事務所入所。同事務所設計主任を歴任。
2002年 (株)NAP建築設計事務所設立。(28歳)
中村拓志&NAP建築設計事務所の建築作品!
ここからはいよいよ、実際に中村拓志&NAP建築設計事務所の建築作品を見ていきましょう。
Ribbon Chapel
瀬戸内の島並みを360度見渡す小高い山の中腹に建つ礼拝堂である。
広島県尾道市のリゾートホテル BellaVista SPA&MARINA ONOMICHI の施設で、主に結婚式用の教会として使われている。
われわれは単独では不安定なふたつの螺旋が結び合うことで自立する建築を実現し、結婚という行為そのものを純粋に構造化・空間化した。
結婚式用の礼拝堂は、元もと経路的なビルディングタイプである。
父と歩くバージンロードは、式が終わればふたり伴って出発する新しい道となる。
そのふるまいの過程の中には、さまざまな回想や感情が詰まっている。
嬉しいことにこの礼拝堂でも、新郎新婦が別々の階段を昇って最頂部で結ばれ、その許しを天に請い、結婚を宣言するセレモニーが生まれた。
別々の人生を歩んでいたふたりが、頂部で一つになり、その後一緒に階段を降りてくるのである。
動線だけで構成された純粋な建築。
海や山、空、遠くの島並みと次々景色が現れ、過ぎ去っていく。
とても小さな建築だけれども、われわれは経路を周長約160mに引き伸ばして結婚式独自の体験性を拡大することで、新郎新婦の胸の高鳴りや参列者の思いに寄り添うことを目指した。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した広島県尾道市にあるチャペル「リボンチャペル」!
リボンをモチーフにした二本の螺旋階段が特徴の教会で、中村拓志&NAP建築設計事務所の代表作品の一つです。
別々にスタートする二本のリボンがやがて一つになる夫婦を表現していますよ。
全面ガラス張りで、天井高はなんと15mもあります。
ヨーロッパ主要建築家フォーラムによるリーフ賞の最高賞やJCDデザインアワード2014の大賞など様々な賞を受賞していますよ。
ウェディング |ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道 公式ホームページ | 極上のリゾートホテル
Optical Glass House
広島市の中心部に建つ個人住宅である。
周囲には高層ビルが建ち並び、前面道路には車や路面電車が行き交っている。
そこでプライバシーと静寂のために、道路側に前庭と光学ガラスのファサードを設けた。
室内からはどこの部屋にいても庭を眺めることができ、その向こうでは、通りを行き交う電車や車やビルが音のない滲んだ風景として生活を彩る。
東からの陽光はガラスの屈折によって美しい光紋様を床や壁に描き、水盤型トップライトは雨の水紋をエントランスの床に描く。
木漏れ日が床に踊り、金属をスパッタリングした超軽量カーテンは、建物前後の2つの内庭の温度差によって風が起こっていることを教えてくれる。
都心であっても一日の光や街の変化、季節の移り変わりを感じながら暮らすことのできる住宅である。
約6000個のガラスの塊(50mm×235mm×50mm)をファサードに用いたのは、単位面積あたりの質量が大きく遮音効果があることと同時に、都市の風景を遮断せずにクリアで開放的な庭を作るためだ。
そのため、光学ガラスの原料であるホウケイ酸ガラスを主体とした透明度の高いガラスを、キャスト(鋳込み)法にて製作している。
この工程はガラス内の残留応力の除去のための緩やかな除冷と、厳しい寸法精度を要するため、制作は困難を極めた。
ファサードは、幅8.6m高さ8.6mで大面積のため、奥行きわずか50mmのガラスでは到底自立しない。
そのためファサード頂部の梁から暖簾のように吊ることにした。
まず梁に74本のステンレスのボルトを吊し、そこに地震力を負担する水平部材をガラス一つ置きに固定。
水平部材は40mm×4mmステンレスのフラットバーで、厚さ50mmのガラスブロック内部に収まるようにガラスブロックを掘りこんで、フラットバーにかぶせている。
その結果、目地幅をシール施工の最小寸法である6mmにすることが可能になり、軽やかで滝のような透明感のあるファサードが実現した。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した広島県広島市中区にある個人住宅「オプティカルグラスハウス」!
光学ガラスのファサードが特徴の住宅です。
唯一の採光面が道路側なので、プライバシーを守りつつ、音をカットし光を取り入れています。
緑が植えられた静かで開放的な庭があり、広島の中心部とは思えませんね。
前にこの近くに住んでいた時にかっこいい建物があるなあと思っていたのですが、まさか家だったとはその時は想像もできませんでした。
Dancing trees, Singing birds
東京の一等地に建つ集合住宅である。
敷地奥の傾斜地には、幅40mほどの立派な林が残っていた。
そこで木々を極力伐採せずに、容積を最大限確保することにした。
まず樹木医と共に根の位置を調査し、太い根を切断せずに済む、ぎりぎりの位置に構造壁を設定。
どうしても根に当たってしまう地中梁は、蛇行させて避けた。
次に、直径15cm以上の枝を独自に開発した方法で測量し、そのデータをコンピューター上に三次元化。
木の生長や強風時の枝の揺れをシミュレーションして、枝の及ばない空隙を割り出し、そこに部屋をはね出した。
部屋の外形は少々いびつになったが、それは自然の環境をあるがままに受け入れた結果だ。
伐採や切断ではなく、樹木への局所的な対応で建築を作るこの方法は、鳥の巣づくりに似ている。
内部は、RC造のLDKや寝室などの大空間と、鉄骨造で森に張り出した浴室や書斎などの小空間からなり、どの部屋も森に接するように配置されている。
窓の周辺にはデスクや本棚、浴槽、洗面台を設けて、森と共に生活できる空間とした。
住人は生活の中で、リスのように樹肌や葉を間近で眺めたり、花の香り、小鳥のさえずりを、実感することができる。
樹木の挙動という、「自然のふるまい」に応答した内部空間では、住人の「生活のふるまい」が展開されるのだ。
それぞれの活動が共鳴することで、人は自然の営み自体を徐々に身体化していく。
我々はこの反復運動が、自然への愛着を作り出すのである。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した東京にある賃貸住宅「ダンシングツリーシンギングバード」!
敷地内にある樹木を避けて建てられているのが特徴で、自然を感じることができる集合住宅です。
全6戸あり、プールやスパ、茶室、テラス、アウトダイニング、シアタールームなど部屋によって違うテーマになっていますよ。
Sayama Forest Chapel 狭山の森 礼拝堂
敷地は森と墓域の境界に位置する。
我々はここに、木々に抱かれながら森に祈りを捧げる礼拝堂を設計した。
三角形の敷地外周部に樹木を植えて建物を木々で包み込み、その隙間から森を望むプランとした。
枝葉を避けるために壁の上端を内側に倒した結果、2本の柱を互いに立て掛け合う扠首(さす)構造を持つ合掌形式となった。
ここでは扠首構造を全方位的に展開することにより、屋根架構自体が鉛直・水平方向の荷重を負担している。
そのため、通常の小屋組に必要とされる耐震壁を省略することができ、より純粋な形で、新しい合掌造りが可能となった。
合板で固めて座屈を抑制した各登り梁は、構造でありながら仕上げ材としての繊細さを追求し、柱の見付け幅をわずか60ミリとした。
接合金物や棟木を見せない納まりとすることで、大地から伸びる柱だけが連続する構成とした。
次にこの複雑な架構を未来永劫保護するための屋根が課題となった。
曲面に追従して耐久性があり、人々の思いがこもっていて、地域由来の素材であればなお良い。
そこで我々は「キューポラのある街」で有名な、車で1時間ほどの距離にある川口市の鋳物職人たちと、180×200ミリの大きさで、4ミリの厚板によるアルミ鋳物を開発。
この厚みは手曲げ可能な限界値であると同時に、鋳物での製作限界であるため、製造は困難を極めた。
完成した鋳物は1枚ごとに流痕が異なり、職人の思いがこもった表情となった。
床はわずかに祭壇へと傾斜しており、人は無意識のうちに祭壇へと向かい、その奥の森に祈る。
祈る人々の手のひらの中では、指の一本一本が合わさり、あたたかで小さな空間が生まれている。
この建築は、その小さな祈りの空間をそのまま取り出したような形をしている。
人々とともに、建築も祈るのである。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した埼玉県の狭山にある礼拝堂「狭山の森 礼拝堂」!
合掌をモチーフにした二本の柱を立て掛け合う構造が特徴の建物です。
外壁は川口市の鋳物職人たちと共同で開発したアルミ鋳物板を使い、床はわずかに祭壇側の森へ傾斜しているなどこだわりを感じる作品ですね。
Lanvin Boutique Ginza
東京で最も有名なファッションストリートである銀座中央通りに建つ、ランバンのブティックである。
ランバンはクチュールメゾンの歴史を持つフランスのブランドで、母が娘に服をつくることから最初の一歩を踏み出した。
そこでその伝統と精神を表現するために邸宅のような家型の外観とした。
外装にはダイヤが刺繍されたランバンのパーティードレスのように、スチールプレートに約3000 個のアクリル円柱を象眼することで、ブランドが持つ優れた縫製技術を表現した。
アクリル窓は極小のショーウィンドウとなり、人が腰をかがめて覗くといった、建物に対して能動的な行為を誘発する。
また、外光を繊細な光の粒子に還元し、その光の粒が室内に無数に散りばめられることで、人々の気分を高揚させて独特の雰囲気を作り出す。
アクリル窓は、世界で初めての工法で製作した。
通常窓を作るにはサッシやシールというさまざまな手順が必要とされる。
しかし、そのような余計な部材は光が創り出す繊細な現象を台無しにしてしまう。
そこで開口部での一切の部材を排除するため、船舶職人の知恵と技を借りて「冷やし嵌め」という技術を開発した。
旋盤機械によってミクロン単位の精度で削りだしたステンレス製の開口に、マイナス40度に冷やすことで収縮させたアクリルをはめ込む。
その後常温に戻るとアクリルは膨張するので、その力を利用してアクリル固定するのである。
つまりこの窓は、押し縁やサッシ、接着剤を一切使用せず、素材の力だけで水密性能を確保しているのである。
その結果、昼には内部に万華鏡のような美しい光を乱反射させ、夜には街路に星屑のような光を散りばめることが可能となった。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した東京の銀座中央通りにある「ランバンブティック銀座店」!
小さな円形の穴が多数空いた家形の外観が特徴の店舗です。
鉄板の外壁に空いた3000個の穴にアクリルの窓が埋め込まれていますよ。
複数空いた穴があることによって、昼間は外部からの光が入り、夜は内部の光が外部にもれるおもしろい仕掛けになっています。
現在は店舗が移転したためなくなっていますよ。
Lanvin Paris, luxury ready-to-wear and accessories for men and women
Lotus Beauty Salon
名古屋近郊に建つビューティーサロンである。
美容院は一般的に鏡と椅子がリニアに連続することが多く、プライバシーがない。
そこで、客をプライベートにもてなすことのできる個室だけで構成した空間を提案した。
個室は狭くても奥行きを感じさせない円形で、髪をカットする際の、客の頭を中心にしたスタイリストの回転半径を規準にした。
しかし普通に部屋を壁で仕切るだけではサービスの連携が悪くなる上に、閉塞感が生まれてしまう。
そこで個室の壁の高さを1.4 メートルに設定し、座っている客にとっては道を行き交う車が見えず空だけが見える個室、立っているスタイリストには視線の抜けがよいワンルームとした。
次にコストを下げるため、傾斜地に合わせて通路や滞在性の低い部屋の床を傾けることで、建物の高さを抑えた。
その結果、床から間仕切り壁の高さが段階的に変化し、その天板はベンチ、デスク、ハイカウンター、パーティションとグラデーション状に機能が変わることになった。
使用者は自らの身体との関係の中で、能動的にその機能や意味を発見していくことになる。
壁と床の接線はモルタルで滑らかにつなぎ、奥行きが把握しづらく閉塞感ない空間とした。
これは髪の毛が壁と床の接合部に挟まらず、掃除しやすいメリットもある。
構造は握ることができるほどの繊細な60φの鉄骨柱とし、一部は水平力を受けるために傾けることで、耐震壁のない大きなワンルームを実現した。
円形の個室にはそれぞれ異なる薄い色ををグラデーション状に塗り、滑らかにつないだ。
白いペンキに赤や黄色を数滴垂らすだけの、かろうじて知覚可能な淡い色である。
色を数滴加えるだけで大きく色みが変わってしまうため、現場で何度も調色し、ようやく色を決めた。
実際に空間にしばらくいると、視覚の慣れによって色味が意識から後退して、壁の色が純白に見えてくる。
そして隣の空間へ移動すると、色味が意識の中に立ち現れる。
その直前の体験によって、色は相対的に変化するのだ。
それは実際の色の変化によるものなのか、自分の体調や気分のせいなのか、日光の入り方の差なのか、即座に判断できないくらい繊細な現象である。
相対的な色、使用者の身体によって変化する相対的な機能。
蜂の巣を半分に割ったような空間の中で、使用者の動物的で能動的な体験が始まる。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した三重県桑名市にある美容院「Lotus Beauty Salon」!
プライベートな空間を確保するために個室となっているのが特徴の美容院です。
個室は圧迫感を軽減させるためサークル型にし、スタッフが作業しやすいように壁の高さが1.4メートルと低くしてあります。
そうすることによって、座っているお客さんには壁がある個室になり、立って作業しているスタッフには壁がない空間となっていますよ。
エッジロータス桑名店|三重県 四日市 桑名 鈴鹿のトータルビューティーサロン EDGE(エッジ)
録museum
栃木県の私設美術館である。
亡き父が集めた小さな絵のコレクションは、日本人作家による、森などの自然を描いた具象絵画が多い。
施主は地域の人々が気軽に訪れるサロンのような場を望んだため、まずは公園のような場をつくろうと考えた。
地元の造園業者と一緒に山の木を見て廻り、設計前にあらかじめどの樹木をどの角度に植えるかを決定。
互いの枝が重ならないようにグリッド状に配置して、敷地上空が満遍なく枝葉で覆われる計画とした。
次に、木の枝ぶりを三次元で測量してコンピューター上にモデリングして再現。
そのデータを用いて木々の隙間を縫うように展開する建物を設計した。
展示室は、小さな絵に集中できるようにホワイトキューブとしながら、天井だけは周囲の木々の形を反映している。
内部は身体と建築と樹木が寄り添うような親密な空間がたくさんできている。
例えば入口は、上空の枝を避けるために、思わず首を縮めてしまうような天井高である。
日本の茶室のにじり口が、おじぎに似たふるまいを誘発することで人を謙虚な気持ちにさせるように、ここでも客が少し頭を垂れることで素の自分に戻って、絵とじっくり向き合うことを狙っている。
カフェでは木々の下で日差しを避けたり、雨宿りをするのと同じふるまいが生まれている。
枝を避けて歩き、木陰で休みながら、森の中を散策するように絵を鑑賞できる美術館である。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した栃木県小山市にある美術館「録museum」!
東京の集合住宅「Dancing trees, Singing birds」と同様に樹木を避けて建てられています。
テントのような湾曲した天井や三角の窓、茶室のにじり口のような小さな入り口など計算して作られていますよ。
併設しているカフェ「録cafe」もあり居心地の良い空間となっています。
録ミュージアム&カフェ | 栃木県小山市にある中村拓志建築デザイン、私設美術館『録ミュージアム&カフェ』
東急プラザ表参道原宿
表参道の路上には、ケヤキ並木の木漏れ日が揺れている。
我々はこの建物と樹下空間が一体化した環境こそが、表参道の固有性であると考えた。
そこでこの特徴を取り込むために建物と樹木が一体となったボリュームを街並み上空に浮かせ、木漏れ日の空間を上部へ段階的に連続させた。
これは鳥や蝶などが屋上の森に昇ってくることを助けるだけでなく、商業的にも屋上庭園が人々の訪問動機となり、シャワー効果と呼ばれる、最上階から下階への客の流れをつくるのである。
樹木は一番日当たりがよく、交差点のどこからでも見える外周部と屋上に、設計に先だってレイアウトした。
その結果、室内は木々の枝葉によってえぐられ、屋上広場は根鉢の分隆起してしまった。
しかし我々は逆に使用者やテナントがこの不自由さを愛し、ポジティブに使っていくことが、樹木と人の密接な関係を作り出すと考えた。
この建物は、1階のテナント価値を最大化するために、B1階、1階、2階 の3 層を一体化した独立型路面店の形式としている。
これらの路面店は建物と切り離された自立的ファサードを持ち、街並みを形成する。
ただし問題となるのは、3 階以上の階への客の誘引である。
エスカレーターの昇降時間の長さもあって、これは実はかなり難しい。
そこで我々は多面体ミラーによる体験型の動線空間を提案。
着飾った人々が万華鏡の中のカラフルなパーツのようにめくるめく反射を繰り返すことで、ファッション特有の高揚感や賑わいを創出。
商業的にはミラーが間口を実際より広く見せる上に、登っていく人々が反射によって倍増して見えるため、行列効果も期待できる。
そしてその先のアトリウムではトップライトから木漏れ日が落ちてきて、表参道特有の買い物体験が始まるのである。
屋上は、根鉢の段差を多角形のステップで均すことで、すり鉢状の広場となった。
これは階段や椅子、テーブルとしても使える多義的な形態であり、使う人が身体的に建築と関わるきっかけになる。
特に我々が惹かれたのは、人が自然とすり鉢空間の底部に体を向け、中心を見つめることであった。
木漏れ日の下で小さな無数の入隅に人々がはまって、視線の先を共有するのである。
隣の人々と対面する緊張感がほどけて、ふと気づけば皆が一緒の輪になっている。
ネット上のショッピング空間が肥大化する現在、商業実空間では、ネットで体験できない価値を最大化することが求められているが、我々はこの身体性と場所性に満ちた快適な環境の中で感じる、ゆるやかな一体感こそ、これからの商業施設に必要なことだと考えた。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した東京の表参道原宿エリアにある商業施設「東急プラザ表参道原宿」!
テラスのある樹木と一体化した建物で、屋上にはたくさんの木が植えてある広場が設けてあります。
エスカレーターには万華鏡のようなアプローチを設け、上の階にも来てもらえるように工夫されていますよ。
House C ―地層の家―
房総半島の海辺に建つ週末住宅である。
周囲には地層がむき出しになった崖と草原が広がっている。
普段都心の高層マンションに住む施主は、週末だけは大地と接して暮らしたいと願っていた。
そこで、敷地の土を屋根や壁に用いて、大地と連続した建築を提案した。
構造は万一の津波に強く、その力を受け流すRCの門型フレームとし、屋根は外断熱を施した上に、保護材兼仕上げ材として現場の土で覆い、流出防止のために野草の種をまいた。
そうすれば屋根材で被覆する必要がないため、コストを抑えることができる上に、環境への負荷も少ない。
コンクリートの壁は塩害防止のため、コーティングする必要があった。
そこで屋根と同じように現地の土を採用し、セメントや樹脂などを混ぜて最大55mmに厚塗りした。
仕上げは住み手も一緒になって参加し、木ゴテ、金箒、ヘラなどで土を掻き落とした。
あらかじめ土の中には砂利や貝を混ぜておいたために、掘るたびに何かが出てきて、発掘作業に似た楽しみがあった。
このような工程を経ることで、左官の工程上の時間差や掻き落とした痕跡、土の中の内容物が表出し、大地から地層が隆起したような外観となった。
このデザインの決定権は、住人や職人の手と、気候や大地といった自然の側にある。
フォームやテクスチャーは土を掻き落とす住人や施工者たちの工具にかかる力と土の固さに呼応して決まる。
壁の色は、現場の土と各種材料の混合度合いによる。
屋根の輪郭や色もまた、植物が決める。
そして竣工後も、住人の手による剪定、風や鳥たちが運んでくる種子によって、季節に応じて変化し続けるだろう。
その変遷が、唯一無二の家の歴史を刻んでいく。
住人は週末になるとここを訪れて、庭で土をいじり畑を耕し、壁や屋根を見つめ、触れる。
家づくりのふるまいと、庭づくりのふるまいが同一化した住宅。
暮らすほどに心と体が大地に馴染んでいく建築である。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した千葉県の房総半島にある別荘「House C ―地層の家―」!
壁や屋根に現地の土を使用した門型の建物です。
さらに屋根には草花が生えており、周りと一体化したデザインとなっています。
また、海側にはウッドデッキがあり、室内は開放的なワンルームを堪能することができますよ。
ギャラリー桜の木
高原の避暑地である軽井沢に建つ画廊である。
絵をかけるための壁面を量的に確保しつつ、個室で絵と1対1で向き合えるような落ち着いた空間とした。
それぞれの空間は、絵の雰囲気に合わせて、テイストの異なる仕上げを施した。
ただし壁が多い上に厚いと、各部屋は窮屈になってしまう。
そこで仕上げと構造を兼ねることで、厚みわずか30mmのカラマツ集成材による木の壁構造を実現した。
通常の木構造は、柱と梁で作る従来型の軸組工法か、ツーバイフォーのような枠組み工法がほとんどのため、集成材による木の壁構造というのは画期的な工法である。
開口部は個室の閉塞感を解消するために、視線が抜けるように配置。
軸力の負担を分散しつつ、集成材の割れを防止するために、入隅のないアーチ型とした。
その開口がスケールを変えながら連続することで、子供の頃に紙でパタパタと作ったドールハウスの中にいるような非現実的な感覚が生まれた。
自分の体が小さくなったような感覚。
実際以上に奥行きが深く、吸い込まれるようなギャラリーである。
仕上げは、優しい木の構造壁が感じられるように、ベルギーレースや和紙、渋柿塗装などの透ける素材とすることで、ほんのりとした薄化粧とした。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した長野県軽井沢町にあるギャラリー「ギャラリー桜の木」!
わずか3cmの薄い壁とアーチ状のかわいい開口部が特徴の建物で、入り口から連続するアーチも魅力的ですね。
内部はそれぞれ異なるテーマでつくられた7つの部屋で構成されていますよ。
ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した広島県尾道市にあるおしゃれなリゾートホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」!
中村拓志氏が手掛けたのは、このホテルの象徴とも言えるガーデンデッキやロビー、シグネチャースイート「メゾネットスパスイート」です。
同じ敷地内にはチャペル「リボンチャペル」やレストラン「エレテギア」も建築家の中村拓志氏による設計となっていますよ。
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store(Kamikatz Public House)
徳島県の上勝町は持続的な循環型社会を目指し、ゼロウェイストを公約に掲げている。
同町はゴミの34分別によって既に再資源化を8割達成しており、リサイクルセンターは店舗のように中古品が陳列されている。
大量生産大量消費社会が行き詰まりを見せている中で、この運動には国内外から多くの期待が寄せられている。
このプロジェクトは同町の理念に賛同した民間企業が、ゴミゼロの実現には生産から販売過程でのパラダイムシフトが不可欠であるとして、日用雑貨や食品、ビールなどの量り売りのお店と、ビールの醸造所とパブが一体化したブルーパブを構想したことから始まった。
パブの語源がpublic houseであるように、我々はこの地域の理念やごみに関する人々の知恵、ふるまいを建築として形にし、人々が自らの行為を誇りに思えるような「公共的な家」を目指すことにした。
まずは生産と消費の連続性を作るべく、リニアな建築に原材料倉庫から醸造を経てパブでビールが飲まれるまでの時系列順で機能を配置。
町から見上げた時に地域のシンボルとなるよう、パブの窓は高さ8mとし、廃屋となった民家からの建具で構成した。
かつて町に灯った窓が集合して、過疎化にあえぐ町を照らす希望の行灯となるよう願いを込めた。
この吹き抜けによって、夏季は上部に滞留する暖気を効率的に換気する。
二枚の建具の間には空気層を閉じ込め、断熱を強化。
森から出る木の枝を有効活用したカーボンニュートラルな輻射式暖炉からの暖気を天井扇によって循環させている。
商品の展示什器は、リサイクルセンターで見つけた嫁入り箪笥や農機具などを転用、再構成した。
外壁には天然由来の柿渋塗装を施した町内産の杉板の端材、床にはタイル工場の廃棄処分品、空瓶で作ったシャンデリアや町内産の鹿の角のdraft tower、新聞の壁紙なども廃材を創造的に組み合わせたもので、即興と発見に満ちた空間である。
この建築はリユース・リデュース・リサイクルによる省エネルギー・省資源・有害物質排出抑制だけでなく、経済の域内循環や観光促進に繋がり始めている。
町のビジョンを暮らしの中で具現化したことにより、パブに集う町の人々は、この行為そのものが楽しくクリエイティブなものだと実感し始めている。
また、町もまたこれに刺激を受け、リサイクルセンターには建材の陳列棚が新たに設けられた。
中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した徳島県上勝町にあるマイクロブリュワリーやジェネラルストア、テイスティングスタンドなどからなる施設「RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store(Kamikatz Public House)」!
大きな開口部分が特徴のユニークな建物で、開口部には使われなくなった建具をランダムのように並べています。
外壁は上勝産の木材の端材を使用しており、内装にも様々な廃材が使用されていますよ。
第2工場の「KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE」はイギリスの建築集団Assemble(アセンブル)が手掛けています。
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
中村拓志氏は建築に関する本も出していますよ。
どの作品も一度は行ってみたい素敵な建築ですね。
以上で中村拓志&NAP建築設計事務所の建築作品12選。代表作の広島のリボンチャペルなどでした。
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